令和フィルムカメラ(15) LOMO Daylight Developing Tank 35mmで自家現像を始めました

こんにちは。上野治療室からです。

少し前にネットで見ていたら出てきたこの商品

https://shop.lomography.com/jp/daylight-film-developing-tank-35mm

Lomoから出ているダークバッグ不要の現像タンク。

なにそれ画期的!?と思わず購入しました。

簡単に説明すると
カメラのフィルムは光に当たると化学反応を起こします。
それを利用して画像を形成するのですが、
薬品で処理して光に当てても大丈夫な状態、
すなわちネガ画像を見れるようにするには先に暗室やダークバッグといった
光の入らないところでフィルムをタンクに収めてあげる必要があるのです。
フィルムを収めたら薬品で処理する→画像が出てくる、見える状態になる!
というプロセス。

そのフィルムを収める作業を明るい部屋でもできる!という画期的なタンク。
凄い!やってみたい!やろう!という事で自宅でフィルムの自家現像をしてみた話です。

因みに当方高校時代写真部だった経験があります。

当時カメラは持ってなく
同じ写真部の部員から借りて写真を撮りフィルム現像したり紙焼きをして文化祭で展示なんかしてました。
思えば意識の低い部員でした。。

なのでフィルム現像から暗室作業まで経験は一応あります。
とはいえ簡単に出来ました。これは凄いです!

と現像の前に必要なものを用意しないといけません。
こちらを購入しました。

◯1Lのメジャーカップ 4つ
◯2Lのメジャーカップ 1つ
◯メスシリンダー 1つ
◯プラ製遮光瓶 1L 3つ
◯温度計
◯じょうご


◯フィルムクリップ
◯セームスポンジ


◯現像液(Adox ロジナール)
◯定着液(フジフィックス)
◯富士QW
◯富士ドライウェル


メジャーカップは重ねて保管できるものが嵩張らなくていいと思います
現像/停止/定着の3つあれば何とかなると思いますがそんな高いものでもないし予備でもうひとつ。

タンクの大きさによって薬液の容量は変わりますが1Lあれば2本くらいまでいける筈なのでこれ。

2Lのメジャーカップは水をたくさん使う時や富士QWを2Lの水で溶解するのにあるといいかなと思って購入。
1Lのものをやりくりしても何とかなるとは思います。まとめ買いのついでって事で。

メスシリンダーは現像液を測るのに使いました。
重量ベースで考えるとしてデジタルの秤なんかでも代用できるかもとは思います


プラ製の遮光瓶は富士QWと定着液の保存用に。


現像は温度管理が大事。という事で温度計。念の為2本買いました。
薬品を温水/冷水に浸けて温度を安定させたい時など2本あると便利そう。


繰り返し使える薬品を遮光瓶に移す際にじょうごがあると便利です。

この辺のものは100均なんかでも揃えられそうな気がします。


フィルムクリップ。これがあんまり売ってなくてちょっと困りました。
たまたまヨドバシで在庫であったので購入。
フィルムを乾燥させる際に下に挟んでフィルムをまっすぐにするもの。重り入り。

なければ書類を挟むクリップに適当に重りをつけても代用出来ます。


セームスポンジはフィルムの水滴を取るためのもの。
清掃用のセームスポンジで代用します。


現像液はロジナール。静止現像をしてみたくてこちらをチョイス。
色々ありますので好きなものを選べばいいのだと思います。

定着液はフジフィックス。
それと水洗促進剤の富士QWと乾燥時に水滴がつきにくくなるドライウェル。
この辺は高校の頃使った事がない気がします。



消耗品以外は一回買ってしまえばあとは長持ちするものばかりです。

では早速作業に入る前準備。

メジャーカップにそれぞれラベルを貼りました。

なくてもいいんですが書いておくと間違いがない。

富士QWを2Lの水に溶かします。
温度計でかき混ぜてしまいましたが顧問の先生や先輩に怒られるやつです。
攪拌棒を買いましょう。

富士QWは一旦作ったら100本位はフィルムを処理出来るそうです。
遮光瓶で保存しておきます。

撮影の終わったカメラです。ハーフサイズカメラで24枚撮り。なので48枚で終了。
普通にフィルムを取り出しまして、30年ぶりのフィルムピッカー

1番目を入れてパトローネを巻くとパチンと言うのでそこで2番目を入れて引き出す。
そうすると巻き込んでしまったフィルムの先端が出てくる。そうそう。そんなでした。

フィルムの端を切って角も切っておくそうです。準備完了。

こちらを現像タンクのフィルム装填部にセットします。

フィルムを通して押さえを閉じて。フィルムが曲がってると正しく閉じられずタンクに戻せません。
何回かやればうまくいきます。

ベロの端を2mmくらい出るように調整。このままタンクに戻してハンドルを設置。

クルクルと回せばフィルムが現像タンクの中に入っていきます
分かってはいますが本当に入っていく。

この作業をダークバッグでやらないのが画期的なのです!
本来ですと暗いところで手探りで行う作業。
これを失敗すると中でフィルムが重なってしまい。結果その部分に薬液が浸透せず現像出来ないと言う。。
ステンレス製のタンクの時に失敗して覚えました。そういう苦労がないの素晴らしい。



最後まで引っかかったら赤いツマミを回してフィルムをカット。
こちらもうまくいきませんでしたが数回カチャカチャやったら無事カット出来ました。

これで取り出して完了。フィルムもほとんど残りませんでした。


先に書きましたが現像は静止現像で行います。
昔は現像液はD-76一択。ネオパンプレストで20度7分位だったかなあ?
温度が高いとちょっと短くしてとかで。それでもちゃんと画像は出てきました。



今回は20度の水を700ml用意しました。
現像に必要な薬液は350ml。先に350mlを予備水洗に使い残り350mlを現像に。

水が意外と冷たくてお湯を用意して調整しました。
使う現像液は3.5mlです!1:100の希釈!本当にこんな薄くて現像出来るの!?と心配ですがやってみました

予備水洗1分のあとで現像液を注いで30秒撹拌。ここから1時間放置。

その間何もしないでひたすら待つ。すごい現像法。
これをネットで見て試してみたくなったのです。

その間に次の作業の準備をします。
と、停止液を忘れてました。自宅にあったクエン酸で代用。

350mlの水に60ml溶解。
昔は氷酢酸をちょろっと入れてただけでしたが今はツンとして匂いもなくクエン酸て便利ですね。

定着液は1:4の希釈。600mlほど用意。

これであとは流れ作業で薬液を排出しては次の薬液を入れて、の繰り返しになります。
キッチンのシンクを使いましたがメジャーカップがたくさん並びます。

1時間経過後蓋を開けて現像液を排出。
停止液を入れて1分
停止液を排出して定着液。
途中撹拌しながら5分
定着液を元のメジャーカップに戻して予備水洗1分
そこから富士QWを入れて1分
富士QWを戻して水洗5分

書いてると訳わからないですがキッチンタイマーを眺めつつ
途中撹拌して時間になったら蓋を開けて薬液をメジャーカップに戻して
次のを注ぐ、の繰り返しだけです。

水洗が終わったらドライウェルに浸してフィルムクリップで両端を挟んで乾燥させます

ちゃんと像が出てました!!現像成功です!!やりました!!

という事で失敗もなく、意外とあっさりと自宅での現像は終了しました。
注意したい事としてはフィルムを装填するカートリッジのロックとカットの切り替え。

ここに薄い刃がついているのですが意外と動きが渋い。

カットの部分で刃が閉じてタンクに装填出来て、ロックにすると刃が中に仕舞われて

隙間をフィルムが通る、みたいな仕組み。
ここのレバー位置をちゃんとさせるのが要な気がします。


という事でフィルムをスキャンした作例です。
カメラはリコーキャディー、フィルムはFOMAPAN 200
予備水洗1分 Adox Rodinal 20度 1:100 60分現像。
スキャナはMINOLTA DIMAGE SCAN DUAL III Rawファイルを調整した画像です

取手治療室の裏手にある長禅寺の手水場です。ハイライトがちょっと飛びました。
初めてのフィルムなので勝手が分かってないのもありますが難しいですね
それでもよく撮れてる方だと思います

先日雪が降った時の新橋駅前です。この日は出かけていたのですが寒かった。。

恵比寿ガーデンプレイスですね。

コントラストの具合を見たくて撮ってみましたがやはりシャドーはギリギリですねー

反対側の。何とか暗いところから明るいところまで全部写った感じ

モノクロ写真のレタッチ、何枚かやってようやく分かる様になってきました

これも逆光気味だったのでハイライトが飛びましたね

恵比寿駅に向かう通路です。
35mm相当なので何となく構えると地面が多く入る構図になりがちです

気をつけたい

どこだったっけ?と考えたけど新宿駅ですねこれ。

上野駅構内。こんな感じの写真ばかり撮ってます。

とまあ意外とよく写っていました。初めてのフィルムで初めての現像液だったので
出来に関してはちょっとわからないのですが、充分なのではないでしょうか!?

ハーフサイズカメラなので画質はもうちょいな気がしますが。
24枚撮りで48枚。この位がパパッと撮れて気軽で楽しいかもしれません。

モノクロフィルムも慣れて来ると楽しいですね!カメラを持った時に見方が変わる気がします。
フィルム代が高騰してる昨今、モノクロフィルムの現像代も安くはないですし時間もかかります。
そうなると現像をして自宅でフィルムスキャンをする、
またはお店にスキャンのみ頼むなど色々と出来る自家現像はいいかもしれません

楽しみがひとつ増えました。意外とハードルは低いです。
気になる方は思い切って初めてみましょう!