令和フィルムカメラ(10) 憧れのRollei B35

こんにちは。上野治療室からです。
前回書いた、あまりのボリュームに驚きの声が上がったカメラの話。



の続き、と言いますか。


Rollei35。小さいカメラ好きとしては避けて通れないカメラですよね。
(すみません。知っている前提で書いています)
角張ったシンメトリーのデザイン。レンズが沈胴するギミック。レンズはカールツァイステッサー。
カメラ屋に行くと大体ショーケースに入ってる小さなアイツ。
ずっと憧れの存在です。

https://rollei35af.com/ja/products/rollei-35af

今年になってオートフォーカス搭載のRollei35afというモデルが出たそうです。
俄然気になっています。

という事でカメラを買った話になるのですが
今回ではRollei35ではなくこちら

Rollei B35
Rollei35の廉価版と言われるモデルです。
廉価版な理由はレンズが一枚少ない事、露出計が絞りやシャッターと非連動な事。

えーどうせならちゃんとしたRollei35がいいじゃない?と思っていたのです。
が、こちらのモデルふたつのメリットがあります。
・軽い
・電池不要

何か持ってみたらプラスチックの筐体で全体的に軽いんですよ。
(約270g/Rollei35より100gほど軽い)

この軽快さが気に入りました。そして電池不要なのもありがたい。
液漏れの心配がないですし。

色々と見ていたら中古で安かったので購入しました。
まあ安いなりに問題点がありまして。それが

こちら撮影後にフィルムを巻き取るノブが外れてしまってました。

あちゃー完全未チェック。道理で安い訳だ。
しかもかしめる部品がない。

そして沈胴レンズが引っかかって伸ばす事が出来ず。
そうなるとシャッターも切れず巻き上げも不可。
つまり完全なジャンク品です。

さてどうなるやら、と思いまして分解修理してみました。
今回も長いです。お付き合い頂ければ幸いです

まずは巻き上げレバーをカニ目で取ります。

このまま持ち上げればレバーは外れます

続いてボディの左右にあるネジを外します

ネジの長さが左右で微妙に違います。

この後露出計のメータ付近のネジを外したんですがここは外さなくても上蓋は取れました。
そのままで大丈夫。

ということで上蓋が外れます。露出計部分は上蓋についたまま外れます。
なので緩めなくてよし。

左右部それぞれアップ。真ん中がファインダーです。この状態で清掃出来ます

左側の巻き上げノブしたのバネのかかり、出っ張りが引っかかる位置などをチェックしておきましょう。
ダイヤル部のネジに触った跡があるので以前に分解されてるのかもしれません

反対側からも。ROllei35の分解はそれなりに情報があるのですが
B35の分解についてはあまり情報がなく。手探りで分解してるので写真を多く撮ります。

次に革を剥がします。エタノールを染み込ませて

気を付けてめくると下からネジが出て来ます。
銘板がある側は金属の板が貼ってありました。曲がってしまいそうなので剥がす時注意。

ということで革を剥がし、押さえの板を外しました。

ここから赤で丸をつけたネジを4つ外すとレンズごとボードが外れます。
その際に黄色いゴムのブッシュ(一か所写ってませんが計4つ)が落ちそうになるので
早めに確保しておきましょう。

併せてネジを止めてある受けのプラスチックが落ちます。これも無くなりそうになるので
確保しておいた方がよいです

外しました。すっかりがらんどうです

ひっくり返して眺めてみます。

点線で囲んだ部分、シャッターが切れた際に絞り羽根を動かすレバー部分に
レンズが引っかかっているようです。

反対側のブロック。

裏側から見て右上2時方向。ここに爪がひっかかるとロックがかかり
シャッターボタンが上がり下のリンクの腕が動くようになって巻き上げのチャージがかかる
大体そんな仕組みのようです

ということでとりあえず無理やりレバーを動かしてレンズを回転させてみます

引っかかりは取れましたが位置関係が分からなくなりました。

と、やっていると部品がパラパラと落ちて来ました。
先ほど説明したこぼれてきたブッシュとネジの受けです。確保します。

最初何が起きたのかと思いました。びっくりしました

レンズの位置を元に戻してロックが掛かる位置に来たらシャッターチャージもかかりました



これでシャッターがチャージされてレリーズされるようになりました
よかったよかった

という事でボードを戻して巻き上げをして確認しようと思ったところ
巻き上げレバーが動かない。バネを外して確認してみるとギア内の部品が外れていました

こちらの白い部品、正しい組付け位置はこんな感じです

バネはレバーが巻かれた状態で戻るように引っかけます

巻き上げレバーとレンズボードのアームの関係はこんな感じ
レバーで巻き上げるとギアの下についたアームが外側に動き、引き伸ばしたM字型の
レンズボードについてシャッターアームと押し出して下部でチャージをかける。
そんな仕組みです

動画で見るとこんな感じです。
これでひとまずレンズ沈胴とシャッター周りの修理は完了しました。やったー!

さて問題は巻取り部の修理です。
以前のオーナーもあれこれ試してみたようで接着剤で何とかしようとした跡などがありとても不穏。

どうにかならないものか?とあれこれ検索したところ、カシメのパーツを入手出来そうとの事。

なので早速注文しました!
届きました!本当はもっと時間はかかっているんですが。

こちらをハメこんでみます

キュッとやったらパチンとはまり、無事抜けなくなりました!!!
おおお!このカメラ、まだ動きそう!!希望が出てきた!!!

今回一番嬉しかった瞬間です。

あとはレンズが汚れていたので清掃をしました

こちらの隙間に細いドライバーを入れて接着剤を剥がします

下からネジが出てきました

念の為ケガキを入れてネジを外します
このカバー部分に距離表示のリングがついてくる筈です。
ぐるりと半回転させればフィートとメートル表示の入れ替えが出来る筈です。
あらかじめ無限大の位置を確認してケガキを入れて確認しておくのが大事です。

下にはカシメてあるバネとレンズが。

このC型のバネでレンズを挟んで固定してあります。
レンズは多分一回転で外れます。
写真で見てRolleiのRの位置。ここの出っ張りでレンズの回転位置を決めています。
外に広げて落とすようにC型のバネを外して、レンズを回転すれば外れます


外すとこんな感じ。

レンズを外した状態です。ここでC型のバネは外せます。

今回は前玉の表裏、中玉の前にカビがあったので清掃して除去しました。
後玉が曇っていてどうしようか?と思っていたのですが、裏側から清掃をしたらきれいになりひと安心。

裏側から絞りのレバーの部分と残り2箇所のネジを外すと鏡筒部分が抜けるそうです。
今回はそこまでせずに終了としました。

外したリングと前玉レンズです

レンズの清掃まではうまくいったのですが正直戻すのにとても苦労しました。
何度やってもどうしてもケガキ部分までレンズがうまく回転してくれず。

組み上げて無限遠を確認したところほぼピントは出ているようなので
ひとまずこれでOKとします。撮ってみてダメなようでしたら再度調整を行いましょう。

いやー憧れのカメラが直りました。とても嬉しい。
苦労した甲斐がありました。撮影はまだなのですがとても楽しみです!


と、まあここまで書いてありまして、撮影結果をアップしたのがこちらになります

読んで頂くと分かるのですが無限遠が出ておらず失敗。。まあ仕方ない。

後日再度分解して調整しました。
どうやってもケガキの位置にレンズが来なかったのですが、
落ち着いてやったらあっさりうまくいきまして。

焦って作業するのは良くないなとひとつ勉強になりました。

という事で再度撮影です。今回はFUJIの400。アメリカ製のフィルムの方です。

撮り終わった結果がこちらになります

フィルム装填の1枚目。上野治療室の鏡越しの自撮り。
これは焦点距離ばっちりなのでは無いでしょうか!?

一の酉でも撮影をしてきました。すごく良く写りますね。
FUJI400のフィルム、色乗りがとても良い。いつものFUJICOLOR100とは全然違う。。

境内の少し暗い場所なのですがバッチリです。
えーすごい。質感もよく出てるし。周辺少し流れてますが。

赤色の発色が凄く良いですね。フィルムとも合ってる気がします

上野駅構内のキティちゃん展の看板。
右側から光が入っているのですが、グラデーションもよく写りました。

そうそう。前回はISO感度を少し上げて撮影していたのですが、今回はISO400で撮影。
現像で意外と何とかなりました。セレンはまだ大丈夫そうです

被写界深度浅めの撮影。データ書いてないですが目一杯絞っての撮影。
ちゃんと手前にピントが来てくれました。よかったよかった。

triotarレンズ、どんなもんだろう?と思っていましたが期待以上です!
こんなよく写るなんて!目測でも十分使えますし小さいしこれ一台あればいいのでは!?
という気分になりました。ただこうなると欲しいですね。。。Rollei35が。。

という事でRollei B35、素晴らしいカメラでした!