妊娠、及び産後の治療について -2-

前回は不妊や流産に関してのお話をしました。
今回は妊娠中の腰痛について書きたいと思います。

○妊娠中、及び出産後の腰痛がどうして起こるのか?

妊娠をすると腰痛になる事がある。しかし原因については意外と知られてません。
胎児の重みが腰に負担をかけているから、というだけではないのです。

女性は妊娠すると、ホルモンの分泌量が多くなります。
これは体内で赤ちゃんを育て、大きくしていく為に欠かせないものです。
お腹の中で赤ちゃんが大きくなると同時に、お母さんの身体は出産への準備を始めます。
骨盤同士を繋いでいる関節と靭帯が緩み、骨盤が少しずつ開いていきます。
また、お腹に重みがかかり少しずつ出てきますので、生理的湾曲(背骨のカーブ)にも
少しずつ変化が出てきます。

この骨盤が開いていく時期が問題で、仙腸関節にズレが生じていると
少しずつ骨盤が動いていく際に不具合が出る事があります。
骨盤のバランスが崩れてしまい骨格に歪みが生じると腰痛が発生しますし、
骨盤が片側に捩れてくると筋肉が硬直して坐骨神経痛が出てきます。

(治療に来た方の足の長さを揃えてみると、左右で長さが違ってます。
それだけ骨盤が変位してるのです)

また、腰が悪いとお母さんだけでなく、産まれてくる赤ちゃんにも影響を及ぼします。

骨盤は言わば「生まれてくる赤ちゃんのゆりかご」です。
10ヶ月近く赤ちゃんがいる子宮は、骨盤の中にある器官です。
仙腸関節がズレて骨盤が歪むと、骨盤内にある器官にも負担がかかります。
結果としてゆりかごは窮屈になってしまいます。すなわち、中にいる赤ちゃんも
窮屈で不自然な格好で成長を続ける事になります。

    お母さんが治療を受けていた赤ちゃんは産まれた後も元気で、
    夜泣きもあまりせず、すくすくと成長してますとお話を伺います。
    身体の調子が悪いお子さん、ごく小さい頃から腰が痛いお子さんを治療してますと
    一緒に来ていたお母さんも腰が悪い事が殆どです。

そして産後の治療も同じように重要です。

通常、6ヶ月~1年くらいかけて開いていた骨盤がゆっくりと戻っていきます
この期間に転倒する、無理をして動いてしまうなど、
過度の外圧がかかると骨盤が歪んだままになってしまう事があります。
妊娠前は何の異常もなかったのに、出産を機に腰痛が出てしまった…という女性もいらっしゃいます。

しかし、逆に言えば妊娠/出産時は絶好の治療時期なのです。

上記の通りホルモンの作用で骨盤が開き靭帯や関節が緩んでいます。
つまりこの時期は治療効果も高く、骨盤のずれや歪みも治りやすい時期でもあるのです。
骨盤を正しい位置に治してしまえば、例えば妊娠前に日頃から腰痛に悩まされていた人でも
その後元気に過ごせるようになるのです。

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